多分ご存知でなかったと思いますが、私はインポスター症候群(自己肯定力が低い傾向)のせいで、ずっと心を開くことができませんでした。多くの人は、私の考えはクレイジーだと思っているし、私をうぶな人間だと思っています。だから、決めたことを達成できるはずがないと...。でも、現実には、私は信じているからこそやっているのです。変化をもたらすことができると信じています。THUやTHUトライブは、変化をもたらすきっかけになることができると信じています。では、インポスター症候群はどこに入り込んでくるのでしょう?THUでやっていることは大切だとわかっていますが、自分が十分なことをしているとは思えませんし、十分にできているとも思えません。そう思って、自分の考えを内に秘めてきました。でも変化をもたらすには、全てを吐き出す必要があると気付いたのです。自分の夢やビジョン、なぜ私たちが頑張っているのか。全体像や大きな目標をみんなとシェアすることを恐れる必要はないのです。また、その過程での苦悩もシェアしていきたいと思います。ここでは、Sony Talent League by THU の最新話を紹介します。色々なことについてもっとオープンにしていく第一歩です。

ソニーとのコラボレーションは突然生まれたわけではありません。何年もかけ関係を築きお互いを知り、ギャザリングをしたりして、私たちの活動やその活動理由を見てもらいました。また、ソニーは(私たちには言わずに)スタッフをメインイベントに送り込み、THUトライブ(コミュニティ)やアプローチがユニークであることを直接経験してくれました。ソニーが参加を決めたのは、そんな経緯があってのことです。THUはクリエイターを信じていて、パートナーになりえると判断したからです。その価値観は彼らにとっても重要なことでした。クリエイターの成長を支援したいとソニーは考えています。自分を信じてくれるパートナーがいるかいないかで、大きな違いが生まれます。

この業界の問題点、つまり新しいアイデアや人材が不足していることに気づき、解決する手助けをしたいと共に考えました。どうすれば若いクリエイターたちにアイデアを共有してもらえるのか?クリエイティブでありながら、シャイで自信のない人たちに、どうやって手を差し伸べればいいのか。そして、アイデアを育て、サポートするにはどうしたらいいのか。私たちはさまざまなアプローチを検討し、THUがすでに実施している取り組みにも目を向けました。そして私たちが求めているものを実現するためには、新しいものをゼロから作り上げる必要があるという結論にたどり着きました。クリエイターが知識と自信を得ることができ、自分のコンフォートゾーンから飛び出し、最終的には自分のアイデアを実現するためのサポートを受けることができるような、「(自称)負け犬」に語りかけるようなものを作らなければなりませんでした。

面白いことに、賞のアワードは最初に私から出たものでした。当時、賞金を付ければ参加してもらえると思っていたし、応募を踏みとどまっている人に思い切って応募してもらうには最適な方法だと思っていました。しかし現実には、全く効果がありませんでした。恐怖は想像以上に強かったのです。社会、メディア、学校、みんなこの問題を認識しているのにも関わらず、解決するために何をしているのでしょうか。私たちの活動やインポスター症候群、また失敗への恐れについて伝えるためメディアにアプローチしたところ、「それはニュースにならない」と言われてしまいました。みんなが認識していても、誰も話したがらない、理解したがらないことなんだと思います。それはTHUでも直面していることでもあります。時々、孤独を感じますが、重要な取り組みで解決すべき問題であると知っているからこそ、私たちはやり続けるのです。

そして、私たちは常に学んでいます。2020年、8ヶ月の準備の末、Talent Leagueの第一弾が誕生しました。私たちにとっても初めてだったので、正直に言うと、進めながら学んだ重要なことがたくさんありました。二つの大きな点は:シャイで内向的な人をターゲットにするのは思った以上に難しいということと、若いクリエイターに必要だと思っていたものが必ずしも正解とは限らないということでした。

例えば、昨年の参加者の声を聞いてみると、お金が応募のきっかけになったわけではないし、このチャレンジの中で賞金を最も重視しているわけでもないことがわかりました。才能あるクリエーターたちと交流し、それぞれのニーズに合った指導を受け、持続的なつながりを築き、業界の人々にプレゼンするというメンターシップそのものが、最もインパクトのあるものだったのです。そして、みんなが本当に求めていたのは、最終的に得られるお金ではなく、自分のプロジェクトを投資家に見せる機会や、自分のプロジェクトやプレゼンを実現化するためのアドバイスを直接得ることだったのです。今年は、メンターシップ期間中の金銭的な支援はそのままに、グランプリの賞金を、投資家やその分野の第一人者へ売り込むチャンスに変更しました。

初回に参加した何百人ものクリエイターと話をした結果、応募を躊躇させる最大の要因は「自信のなさ」であることが明らかになりました。批判されるのが怖い、失敗への恐怖、力不足であることへの恐れ。失敗することが悪いことのように思われている世の中では、若いクリエイターが自分を出すことに恐怖を抱くのは当然のことです。皆さんはご存じないかもしれませんが、2013年のTHUメインイベントでは、プロジェクトのピッチを聞くために投資家を招待したのですが大失敗に終わりました。ほとんど誰もピッチに来てくれなかったのです。第1回目のTalent Leagueでもそうでしたが、多くの応募エントリーが登録されたものの、申し込みが未完成のまま終わってしまいました。

では、何がクリエイターを躊躇させているのでしょうか?本来の力を発揮することを妨げているのは、内面的もしくは外的などのような葛藤なのでしょう?それを理解するためには、皆さんの協力が必要です。まだ、すべての答えがわかっているわけではありませんが、理解したいと思っています。私たちは、みんながサポートされていると感じられるような安全な空間を提供し、解決策の一部になりたいのです。たとえ世界中が、あなたには才能がないとか、あなたのアイデアは実現しないとか言ったとしても、このチャレンジを通して、それがウソだということを証明したいのです。自分を信じて挑戦すれば、何かを実現することは可能なのです。

わかっていますとも。「チャレンジ」という言葉でさえも怖いですよね。もちろん理解できます。私も若い頃は、「チャレンジ」や「コンペティション」という言葉が入ったものには応募しませんでした。なぜなら、批判されるのが嫌だったからです。でも、それを簡単に解決する方法はありません。取り組み自体の名称を変えたところで、そこには選考のプロセスがあります(インパクトを与え、努力を惜しまないためには、選考プロセスは必要です)。しかし、この場合のチャレンジとは何を意味するのか、より明確に定義する必要があるのではないでしょうか。答えは簡単。「チャレンジとは学ぶこと」です。

社会がより分断され、悲しいことに個人主義になりつつある中、Talent Leagueがユニークなもの;つまり進んでサポートし、実際にあなたの成功を気にかけてくれる人々につなげてくれると信じています。メンターは私たちのミッションの延長線上に存在し、次世代のクリエイターをよりよく理解し、成長させ、育てていきたいという思いを共有しています。

正直なところ、私が起業したばかりの頃にそういう機会があればよかったと思います。残念ながら私の場合はなかったのですが、少なくとも今、貢献のため皆さんに提供することができます。そして、私はクリエイターを応援しています。あなたのプロジェクトの権利は、あなたに帰属します。


全てはこれからです。次世代のクリエイターを支援するというミッションは始まったばかりで、まだまだやるべきことがたくさんあります。考え方を変えるには時間がかかりますが、続けていかなければなりません。このSTL第2弾でも、失敗を繰り返すと思いますが、それでいいと思っています。皆さんと同じように、学び続け、向上していくことが何よりも大切なのです。みんなと話し、共有し、成長すること。共に頑張りましょう。