普通の人に「あなたが失敗したときのことを教えてください」と尋ねると、おそらくほとんどの人が身悶えすることでしょう。失敗について話す、失敗について考える、過去の失敗を再考する。それらは私たちを気まずい思いにさせます。人生のどこかで、失敗をネガティブに捉え、恐れ、全力で避けるべきものだと植えつけられてきました。しかし、実際に避けてしまうと、人生における最高の教訓や機会を逃してしまうことになります。

 

「失敗とは進行中の成功である」 - アルベルト・アインシュタイン

 

素晴らしいことを成し遂げるためには、失敗を厭わないことです。トーマス・エジソンは、電球を作るまでにどれだけの失敗をしたかという質問に対して、次のように見事な表現をしています。「失敗ではない。ただ、うまくいかない方法を1万通り発見したのだ」と。クリエイター、イノベーター、アーティストである私たちは、人生の浮き沈みにも同じような考え方で臨む必要があります。すべては実験あるのみです。試しみて上手くいかなければ、そこから学び改善していくのです。科学者は失敗を望んでいませんが、成功が保証されていないことも知っています。重要なのは、それぞれの試みから新しい知識を得て、変化を加え調整し、次の機会に目標にもっと近づけるようにすることです。もし初めて聞く方は、「フェイルファスト戦略」をチェックしてみてください(基本的には、何かにトライし、すぐにフィードバックを得て、その後迅速に検証して適応すること)。アジャイルソフトウェア開発やスタートアップのモデルでよく使われていますが、この原則はいろいろな所に応用できます。

 

「邪魔になるのはただ一つ、失敗を恐れることです。料理の世界では、"かまうもんか"という精神を持たねばなりません」- ジュリア・チャイルド

 

また、失敗は新たな発見のための完璧なきっかけとなり得るのです。科学者の話になりますが、スコットランドの研究者であるアレクサンダー・フレミング卿は、ペニシリンの発見者として知られています。しかし、この人類を救う発見がどのようにして生まれたのかご存知ですか?失敗からなのです。休暇中の不注意で、培養液にカビが生えてしまったのです。普通ならば、それは残念なことです。しかし彼は、そのカビが実際にブドウ球菌の成長を妨げていることに気付きました。まさにこれが、世界を永遠に変える画期的な医学の第一歩でした。失敗は、そうでなければ経験することのなかったハッピー・アクシンデントをもたらすことがあるのです。

 

「失敗や失敗の繰り返しとは、達成に至る道の道しるべです。失敗は成功に向かって次につながります」- C. S. ルイス

 

ここまで読んで、失敗からの成功は技術的な分野の人にしか当てはまらないと思った方、一考の余地があります。近年の歴史の中でも、最も愛されているクリエイティブ思想家の一人であるウォルト・ディズニーは、かつて「クリエイティビティに欠ける」と言われ、最初のアニメーションスタジオ「ラフォグラム・フィルム」を閉鎖し破産宣告を受けました。また、ディズニーランドは構想の段階で300回以上も却下されました。しかし今日、彼は世界で最も有名な人物の一人であり、複数のテーマパークやIPを所有し、そのレガシーは死後も生き続けています。もし、彼が途中で諦めていたらどうなっていたでしょうか?ミッキーもイマジニアも、私たちが抱くディズニーアニメ作品への特別な想いもなくなっていたでしょう。挫折から立ち上がるのは大変なことですが、夢と可能性を持ち続けるためにはそれしかありません。

 

「失敗とは、より賢く再挑戦するためのよい機会である」 - ヘンリー・フォード

 

「1つのドアが閉まれば、別のドアが開く」という古いことわざがあります。安っぽく聞こえるかもしれませんが、そこには真実も含まれています。落ち目の弁護士が100万ドルのファーストフード・フランチャイズを設立したり(カーネル・サンダース!あなたです)、アメリカのアイススケート界のホープがファッション界に進出して大成功を収めたり(そう、ヴェラ・ウォンですね)。ファッション、料理、芸術、テクノロジー、そしてその間にある無限の領域に至るまで、失敗後に新たな情熱を発見したり、実りあるキャリアチェンジにつながったという話をたくさん聞くでしょう。秘訣は、失敗したとすねるのではなく、可能性に目を向けて受け入れることです。正しいマインドセットがあれば、可能性は広がります。失敗があなたを必要な場所へと導いてくれるかもしれません。

 

「失敗は、人生において避けることなどできません。全く失敗しないようにするためには、常に逃げ腰になってこっそり生きるしかありません。でもそんな人生など初めから失敗です」- J. K.ローリング

 

確かにその瞬間は、失敗は最悪です。失敗すると、自分は価値がない、役に立たない、才能も知性もないと感じてしまいます。そうなると、実際はありもしない欠点や疑念を次々と思考に織り込んでしまいます。しかし本当は、失敗は素晴らしい先生であり、成長のためのきっかけでもあります。後ろではなく前を見れば、それがよくわかります。私たちの道しるべとなってくれた失敗に感謝し、また人生に置いて欠かせない貴重なものであることを知った上で、一歩踏み出してみましょう。学び、成長し続けるためには、その教えを称え、他の人々と率直に共有する必要があります。

 

「成功を祝うのはいいが、もっと大切なのは失敗から学ぶことだ」- ビル・ゲイツ