不安というモンスターは、さまざまな形で現れます。人それぞれ異なります。ある人にとっては、不安はゆっくりと現れ、しつこいほどに増大し、手に負えないほど大きくなるかもしれません。また、小さな箱の中に閉じ込められ、壁が迫ってくるように感じる人もいます。あるいは、集中することができない、不眠症、心臓発作を起こしそうだと感じるなど、いろいろな顔を持っているのです。しかし、どのような形で現れたとしても、何も恥じることはありません。そして、それは思っている以上に頻繁に起こることなのです。


「頭の奥にある拭い去らない感覚として、不安は現れます。ほとんどの場合、ものすごく何かを恐れている時、たとえば、仕事に応募する時や、誰かと面と向かって対話をしなければならないのが怖いと感じている時などです。悪いことではありませんが、放置すればするほど、壁にぶつかる波のように、どんどん高くなっていきます。その時点で、たいていの場合は深刻な問題になってしまうのです」 - ステファン・ランピング、コンセプトアーティスト、ビジュアルデベロッパー。


一般的な不安症、パニック障害、強迫性障害、PTSD、社会不安症など、数えればきりがありません。その引き金となる要因も様々です。恐怖症、人ごみ、人前で話すこと、差し迫った締め切り、トラウマになるような出来事、自責の念など、こちらも数えればきりがありません。いずれにしても、手に負えないと感じているでしょう。でも、それでいいのです。不安に襲われたら、まずは自分に何が起こっているのかを認識することが大切です。そして、そこから一歩下がり、不安を和らげる努力をすればいいのです。


私は社交的な場で不安を感じます。特に、私が尊敬するアーティストなど、自分を気に入ってほしいと思っている人と一緒にいるときに不安を感じます。そして不安が現れると、逆に過剰なほど面白く振る舞おうとしてしまうのです。他にも、”完璧”なことを言おうとするあまり、長い間頭の中で考えすぎて、私が発言しようと思ったときにはもうすでに会話が進んでいて、辻褄が合わなくなってしまうこともあります。そして、会話中にあまりにも無口になりすぎて、みんなにつまらないとか浅はかだと思われているのではないかと思い、余計に不安になります」- オルガ・アンドリエンコ、ストーリー&ビジュアルディベロプメントアーティスト 


では、不安を和らげるためにはどうしたらいいのでしょうか?私たちの仲間であるTHUメンバーに、いくつかのヒントを求めてみました。

自分の体に耳を傾ける

  • 不安は、予期しないときに忍び寄ってきたり、手遅れになるまで気づかないほどさりげなく積み重なってくるものです。しかし、体はウソをつきません。不安になると首がこわばる、飛行機に乗ると頭がぼーっとする、パニック発作が起こる前にドキドキしたり、目の焦点が合わなくなったりするなど、自分の体が教えてくれます。自分自身の兆候がまだわからない場合は、よく注意してパターンを見極めてください。そして、その兆候を感じたら、すぐに行動に移してください。練習すれば、問題が大きくなる前に、その芽を摘むことができるかもしれません。

「私の対処法は、自分自身に耳を傾け、気持ちが折れそうになり始めているか確認します。そして、自分を安心させ、一息つき呼吸を整え、水を飲みます。静かな時間は私にはとても効果があります。そして、再びモノ作りをする心の準備ができたら、プレッシャーをかけずに小さなことから始めます。ただ、ちょっとした落書きやスケッチ、好きなものやインスピレーションを与えてくれるもの、笑わせてくれるもの、そういうものについて話をします」-ヴェラ・リハーグ、イラストレーター&アニメーター

自分の考えを話してみる

  • 自分だけで抱えようとすると、モグラ塚程度の小さい不安から山のような大きな不安を簡単に作り上げてしまいます。私たちの内なる声はそれが得意で、堂々巡りをし、すべて正当な考えであるかのように装います。今度、心配事が浮かんできて勢いづいてしまったら、それを煽るのではなく、信頼できる人に相談してみましょう。もしかすると、解決策を見つけてくれるかもしれません。最悪の場合でも、声に出すことで魔法のような支配力を軽減することができます。どんなに大きな問題でも、対処できる程度のサイズに分解することができるのです。そのタワーにブルドーザーで突っ込む時が来たのです。

「僕は自分の脳をボイラールームのように考えていて、話すことで蒸気を逃がすことができると思っています。言うは易し行うは難しですが、恐れていることに立ち向かうことで、本当の意味で不安を克服することができると信じています」- ステファン・ランピング

外に出る

  • 不思議なもので、世界が破滅しそうだと思っても、外に出て新鮮な空気を吸い込むと、平常心に戻ることできます。ルーティンを破り、焦点を変えることが大切なのかもしれませんし、どんよりとした空気の代わりに動きを感じることが大切なのかもしれません。もしくは、自然の美しさが私たちの心を揺さぶるのかもしれません。いずれにしても、景色を変えるだけで世界は大きく変わります。そして、ここで面白いヒントがあります。身動きが取れなくなっていると感じたら、ぜひこれを試してください。五感を使って、マインドフルな時間を過ごしてみてください。そうです。大きく息を吸い込み、どんな匂いがするのか感じてください。目を閉じて、聞こえてくる音に耳を澄ませたり、思い切ってバカになったつもりで葉っぱや石、公園のベンチなどに触れて感触を確かめてみたり、身の回りにあるものをじっくり観察したり、好きなものをただガツガツ食べるのではなく、丁寧に味わってみてください(チョコレートは欠かせないでしょう)。感覚を取り戻すことで、自分の体に戻り、過去や未来の自分を気にすることなく、今ここにいることができるのです。

「すべてがうまくいかないときは、靴を履きハイキングに出かけます。100%効果があるわけではありませんが、心配事が発生している場所(デスクやオフィス、あるいはスケッチブックやタブレットなど)から少し離れることで、物事を別の角度から見ることができる場合があります」- サンドラ・デ・シモーネ、イラストレーター&コンセプトデザイナー

アクティブに

  • 上記に述べたことの延長線上にあるのが、アクティブになることです。立ち上がって伸びをしたり、大きくあくびをしたり、手を伸ばしたり、散歩やランニングをしたり、アパートの周りを一曲分だけ踊ったり、ヨガをしたり、自転車に乗ったり。頭の中を整理して、体を動かすことなら何でもいいので、試してみてください。害はありませんし、本当に効くかもしれません :)

距離を置く

  • ストレスの多い状況に置かれていたり、人と接することに不安を感じたりしませんか?少し距離を取ることはできませんか?ドンドン進んでいく会話の中で、一歩下がって相手を認め、一息つくことはできませんか?「おっしゃることはわかりますが、少し考えさせてください。折り返し連絡してもいいですか?」と。 いつもそうできるわけではありませんが、選択肢があるのにそのチャンスを生かさないことがよくあります。いつもいい反応をする必要はありません。時には時間を置くことで、物事をより明確に見ることができることもあります。また、社交場においても、なんとなく気まずいのであれば、自分のために時間を割いてもいいでしょう。それは難しい?"トイレ休憩 "や "飲み物のおかわり "など、あまり重要視されていませんが、簡単な選択肢の一つです。

「人が多い場所にいることは、(私にとって)問題アリです。自分が動揺し始めていると自覚すると、人の少ない場所に移るか、別の静かな場所を見つけて、気持ちを落ち着かせます」- ヴェラ・リハーグ

批評に耳を傾ける

  • あなたはその映画を最悪だと思うかもしれませんが、他の人は素晴らしいと言うかもしれません。それらは意見です。そして誰もが自分の意見を持つ権利があります。フィードバックを取り入れることは重要ですが、自分自身に正直であることも必要不可欠です。頭の中の声が、自分の作品はダメだと言っているのに、多くの人が違う意見を言っている場合は、誰を信じているのかを問うてみるべきです。あなたの作品は今の時点ではベストではないかもしれません。それはそれでいいのです。あなたはまだ未完成で、日々進歩しているのですから。批評に耳を傾け、それを改善に役立ててみましょう。でも、批評によって人生をがんじがらめにされたり、自分の価値を決めたりしてはいけません。特に、それが批評という仮面を被ったただの自虐の場合はなおさらです。

できる範囲でコントロールする 

  • コントロールできないと感じることが不安のきっかけになっている場合は、自分でコントロールできることを見極め、積極的に対処していきましょう。旅行を計画している時、不明な点がたくさんありますよね。その通りだと思います。しかし、その中であなたがコントロールできることは何ですか?それを整理し、できるだけストレス要因を取り除きましょう。部屋の整理や洗濯、料理といった簡単なことをするだけでも、心が落ち着くことがあります。そう!すべてがうまくいっていないわけではないし、あなたが主導権を握っているのです。そこがポイントです。

呼吸

  • 自分の体を騙して言うことを聞かせる時が来ました;) リラックスしているときや寝ようとしているときに、呼吸がゆっくりになることに気づいたことはありますか?これは、体が眠る準備をしている合図です。しかし、不安になると闘争本能が働き、呼吸が速くなったり、浅くなったりします。そう感じたら、次の方法を試してみましょう。7秒かけて息を吸い、7秒止めて、7秒かけて吐きます。これをゆっくりと5回繰り返してみましょう。そして、頭の中で1秒ごとに、1ミシシッピ、2ミシシッピ、3ミシシッピと、7ミシシッピまで数えることを忘れないでください。頭の中でミシシッピに集中し呼吸がゆっくりになると、体は自然とストレス状態が終わったと判断するようになります。ペンを置いてください。危機は回避されました。すべてがまた大丈夫になりました。万が一再び事態が悪化しても、慌てることはありません。この呼吸方法を繰り返すのです。何度でも必要なだけ。簡単に聞こえるかもしれませんが、本当にすごい効果があります。難しいのは、その瞬間に実際に行動に移すということです。

恐れずに相談してみよう

  • THUメンバーはいつでもあなたの味方ですが、もし不安が健康や充実した生活の妨げになっていると感じたら、専門家の助けを求めることも大切です。最近ではメンタルヘルスについてオープンに話す人が増えてきていますね。自分の健康に関わることですから、助けてくれる専門家がいれば、ぜひ探してみてください。最初から自分にぴったりの人が見つからないかもしれません。コレといった人を見つけるには時間がかかるかもしれませんが、自分に合う人を時間をかけて探してください。

「大学時代、自分では手に負えなくなり専門家に相談したところ、不安に対処するテクニックやアドバイスをもらい、とても助かりました。今でも時々不安に悩まされることがありますが、それほど頻繁ではなく、幸いにも以前ほどひどいものではありません」 - サンドラ・デ・シモーネ

私たちが日々生き抜き、成し遂げていること自体すばらしい成果なのです。本当によくやっています。「不安」がそんなことはないぞ、と言うかもしれませんが、それはウソです。もうわかっていますね。自分自身に挑戦することも大切ですが、自分を大切にすることはもっと大切です。だから、無理をせず、自分に優しくしてくださいね。